スキルとは何か — AIエージェント時代のスキル完全マニュアル v2
作成日: 2026-04-17
対象: AIを活用したい全ての人(技術レベル不問)
v1→v2: AI側の分類 → 人間の仕事側からの分類に主語を変更
はじめに
「スキルを作りたいんですけど、どうしたらいいですか?」
この質問に、今まで良い答えがなかった。公式ドキュメントを見ても SKILL.md の書き方しか載っていない。「何を」スキルにすればいいのかがわからない。
このマニュアルは、あなたの仕事のどこがスキルになるのかを見つけるためのもの。
第1章: スキルの本質
スキルとは何か
人間がやっている仕事の一部を、AIでもできるように移管したもの。
これだけ。
請求書を毎月作っている → 請求書スキル
YouTube台本を毎回同じ手順で書いている → 台本スキル
SNSの投稿を定時で回している → 自動投稿スキル
スキルは「AIにできることを増やす」のではなく、**「あなたがやっている仕事をAIに渡す」**行為。だからスキルの中身は、あなたの仕事そのもの。
仕事の4ステップ
あらゆる仕事はこの5ステップで回っている:
集める → 考える → 作る → 確かめる → 渡す
| ステップ | やっていること | 人間の道具 |
|---|---|---|
| 集める | 情報を探す、データを取る、人に聞く | ブラウザ、検索エンジン、ヒアリング |
| 考える | 分析する、計画する、判断する | ノート、ホワイトボード、頭の中 |
| 作る | 文書・資料・成果物を作る | Word、Excel、PowerPoint |
| 確かめる | チェックする、レビューする、品質を検証する | チェックリスト、レビューツール、目視確認 |
| 渡す | 共有する、連絡する、調整する | メール、チャット、会議 |
「確かめる」を飛ばして「渡す」人が多い。でも仕事の品質はここで決まる。 請求書の金額を確認する、LPの誤字をチェックする、コードをレビューする。人間がやっている「確かめる」作業こそ、AIに任せると効果が大きい。ミスを見つけるのはAIの方が得意だから。
この5ステップのどこかに、あなたが毎回同じことをやっている場所がある。そこがスキルになる。
技術的にはSKILL.mdファイル
スキルの実体は SKILL.md というファイル。「この仕事はこうやる」と書いてある指示書。
my-skill/
├── SKILL.md ← メインの指示書(必須)
├── scripts/ ← 実行スクリプト(任意)
├── references/ ← 参考ドキュメント(任意)
└── assets/ ← テンプレート等(任意)
AIがこのファイルを読むと、その仕事ができるようになる。
2026年4月現在、Agent Skills というオープンスタンダードに30以上のツール(Claude Code / Codex / Cursor / Gemini CLI / GitHub Copilot 等)が対応。一つのSKILL.mdを書けば、複数のツールで使い回せる。
第2章: あなたの仕事から見たスキルの種類
2-1. 基盤スキル — 全員が作るべきもの
職種に関係なく、ビジネスをやる全員が毎日やっている仕事がある。
Microsoftが30年間変えていない主要アプリ(Word / Excel / PowerPoint / Outlook)は、人間の仕事の基本動作そのもの。これに「集める」「考える」「確かめる」を加えた7つの動作が、全てのビジネスの基盤になっている。
| 基本動作 | 人間の道具 | AIスキルにすると | 例 |
|---|---|---|---|
| 集める | ブラウザ、検索 | リサーチスキル | 競合調査、ニュース収集、市場分析 |
| 考える | ノート、会議 | 分析・計画スキル | データ分析、企画立案、要件整理 |
| 書く | Word | 文書生成スキル | 議事録、報告書、台本、記事 |
| 計算・管理する | Excel | データ処理スキル | 経費精算、請求書、売上集計、在庫管理 |
| 伝える・見せる | PowerPoint | プレゼンスキル | スライド作成、LP制作、提案資料 |
| 確かめる | チェックリスト、レビューツール | レビュー・品質チェックスキル | LP校正、コードレビュー、請求書の金額確認、チラシの整合性チェック |
| やりとりする | Outlook / Teams | コミュニケーションスキル | メール返信、日程調整、タスク振り分け |
なぜ「確かめる」が基盤スキルか? 「作る」と「渡す」の間には必ずチェックが入る。請求書を作ったら金額を確認する。LPを作ったら誤字をチェックする。スライドを作ったらデザインを見直す。この「確かめる」を飛ばすと事故が起きる。そしてAIはミスを見つけるのが得意。人間が目視で1時間かけるチェックを、AIは数秒で完了する。だからレビュー系スキルは最もROIが高い基盤スキルの一つ。
ポイント: この7つは職種を問わない。社長もフリーランスもエンジニアもデザイナーも、全員がやっている。だからここからスキルを作り始める。
「毎日メールに30分使ってる」→ メール返信スキル
「毎月同じ請求書を作ってる」→ 請求書スキル
「毎回同じリサーチを繰り返してる」→ リサーチスキル
「作った後に毎回同じ項目をチェックしてる」→ レビュースキル
2-2. 専門スキル — あなたの職業で決まるもの
基盤の6動作はみんな共通。でも「何を書くか」「何を作るか」「何を調べるか」は職種で全然違う。
デザイナーはAdobeを使う。開発者はVSCodeを使う。動画クリエイターはPremiere Proを使う。使う道具が違うということは、必要な知識体系が違うということ。
| 専門領域 | 専門の道具 | AIスキルにすると | 必要な知識 |
|---|---|---|---|
| 映像制作 | Premiere Pro, After Effects | 動画編集、テロップ自動生成、サムネ作成 | 映像編集の知識 |
| デザイン | Figma, Photoshop | バナー作成、LP デザイン、ブランド設計 | デザインの知識 |
| 開発 | VSCode, Terminal | コードレビュー、テスト自動化、デプロイ | プログラミングの知識 |
| SNSマーケ | 各SNS, 分析ツール | 投稿自動化、競合分析、エンゲージメント分析 | マーケティングの知識 |
| コンサル | ヒアリングシート, 診断ツール | 提案書生成、課題分析、ROI計算 | 業界・経営の知識 |
| EC | ショッピングカート, CRM | 商品説明文、レビュー分析、在庫アラート | EC運営の知識 |
| 教育 | LMS, 動画講座 | マニュアル自動生成、テスト作成、進捗管理 | 教育設計の知識 |
なぜ専門スキルが分かれるのか?
医者と弁護士はなぜ別の職業か。必要な知識が全く違うから。解剖学を知っていても裁判はできない。民法を知っていても手術はできない。
AIスキルも同じ。「YouTube台本を書くスキル」と「コードレビューするスキル」は、必要な知識が完全に別物。だから別のスキルになる。
専門スキルはゴールから逆算して決まる。 何を達成したいかが明確になれば、必要な専門スキルが自動的に特定される(→ 第3章)。
2-3. メタスキル — スキルを管理するスキル
スキルが20個を超えてくると、スキル自体を管理する仕事が発生する。
| メタ動作 | AIスキルにすると | いつ必要か |
|---|---|---|
| スキルを作る | スキル作成フレームワーク | 新しい業務をスキル化する時 |
| 品質を管理する | レビュー、テスト、監査 | スキルの品質が落ちてきた時 |
| 複数AIを束ねる | Agent Teams、オーケストレーション | AIを並列で走らせる時 |
| スキルを自動生成する | スキルが勝手に作られる仕組み | フェーズ2の世界(→ 第4章) |
最初は不要。 基盤スキルと専門スキルを10〜20個作ってから考えればいい。
まとめ: 3層構造
┌──────────────────────────────────┐
│ メタスキル(上級者向け) │ ← スキルが20個超えてから
│ スキルを作る・管理する・束ねる │
├──────────────────────────────────┤
│ 専門スキル(職種による) │ ← ゴールから逆算して決まる
│ 映像/デザイン/開発/マーケ/... │
├──────────────────────────────────┤
│ 基盤スキル(全員共通) │ ← まずここから作る
│ 集める/考える/書く/ │
│ 計算する/伝える/確かめる/やりとりする │
└──────────────────────────────────┘
第3章: ゴールが決まればスキルが決まる
ゴール→プロセス→タスク→エージェント→スキル
夢・目標(ゴール)
↓ ゴールが確定する
プロセス
↓ プロセスが確定する
タスク
↓ タスクが確定する
エージェント(担当者)
↓ エージェントが確定する
スキル(そのエージェントが持つ能力)
これはTERUが数十万回のAI対話から見つけた階層構造。「ゴールが決まればすべてが決まる」の具体形。
例: 年商1億をデジタルコンテンツで達成したい
ゴール: 年商1億
↓
プロセス: SNS集客 → 教育 → 販売 → サポート
↓
タスク: X投稿 / YouTube台本 / LP制作 / 決済 / 請求書 / ...
↓
エージェント: マーケター / コンテンツ制作者 / 事務
↓
スキル:
基盤: メール返信、日程調整、経費精算、請求書作成
専門: x-auto-poster、youtube台本、LP制作、決済管理
ゴールが変われば、必要なスキルも変わる。 5億なら5億のスキルセット。100億なら100億のスキルセット。
スキルは何に依存するか
スキルは3つに依存している:
人に依存する — その人の専門領域・得意分野がスキルの中身になる
プロジェクトに依存する — プロジェクトごとに必要なスキルが変わる
タスクに依存する — タスクの粒度でスキルの範囲が変わる
1つのエージェントに何個のスキルを入れていいか
たくさん入れていい。
年商5億円クラスのデジタルビジネスなら、おそらくエージェントは3〜4体で足りる。1体あたり100個のスキルを持っていても、AIは集中力を切らさずに仕事を捌ける。
人間の場合、100個のスキルを使いこなすのは無理。でもAIは全てのスキルの手順を正確に記憶し、必要な時に必要なスキルだけ呼び出せる。
ただし注意: スキルは数が多ければいいわけではない。 100個のスキルを持つということは、100個を保守する責任も持つということ。API変更、品質劣化、重複整理が発生する。必要なのは「数」ではなく「再利用できること」「品質が保てること」。
第4章: スキルの2つのフェーズ
フェーズ1: スキルは「作るもの」
最初の段階。自分が繰り返しやっている作業を見つけて、手順に書き起こして、AIに渡す。これがスキル作成の基本。
やることは4つだけ:
洗い出す — 自分が毎日やっている仕事を全部書き出す
手順を書く — その中で繰り返しているものをSKILL.mdに書く
動かす — AIに読み込ませて実際にやらせてみる
直す — うまくいかなかったところを修正する。3回使えば安定する
「何を洗い出すか」が最初の壁。 自分の仕事を客観的に見る方法はこう:
Step 0: 仕事を「集める→考える→作る→確かめる→渡す」の5ステップで整理する
- 1週間、自分の作業を記録してみる
- 各ステップに何時間使っているか大まかに把握する
Step 1: 繰り返しを見つける
- 「3回以上同じことをやっている」作業に印をつける
- 「なんでこれ毎回やってるんだろう」と思ったらそれがサイン
- 「うざい」「またこれか」と感じる作業は最有力候補
Step 2: 優先順位をつける
- 「売上に直結する」作業 → ROIが高い。優先
- 「うざくて時間を食う」作業 → 解放感が大きい。優先
- 「売上にも関係ないし、たまにしかやらない」→ 後回し
よくある間違い: 「一番難しい仕事」からスキル化しようとする。違う。一番簡単で一番繰り返しているものから始める。請求書の作成、定型メールの返信、毎週のレポート。こういう「手順が決まりきっている仕事」が最初の1個に最適。
もう一つの間違い: いきなり完璧なスキルを作ろうとする。違う。最初は雑でいい。動けばいい。3回使って直して、5回使って調整して、10回使ったら完成。スキルは育てるもの。
フェーズ2: スキルは「勝手に作られるもの」
上級の段階。ここに来るまでにフェーズ1で20〜30個のスキルを作った経験が必要。
フェーズ2では、新しいプロジェクトが立ち上がった時に:
必要なスキルが自動で特定される(ゴール→プロセス→タスクから逆算)
存在しないスキルは自動で生成される(既存スキルのパターンから学習)
既存スキルは自動でアサインされる(エージェントに最適配置)
具体例で考える:
状況: 新しくFacebook広告を回すプロジェクトが立ち上がった
フェーズ1の人:
「Facebook広告のスキルが必要だな。作るか」
→ 自分でリサーチして、手順を書いて、テストして、完成(2〜3日)
フェーズ2の人:
「Facebook広告プロジェクト開始」と宣言する
→ システムが既存スキル(SNS投稿スキル、広告分析スキル)を参考に
→ Facebook広告用のスキルを自動生成する
→ 人間は「これでOK」と承認するだけ(30分)
なぜフェーズ2が可能なのか? ゴールが決まればプロセスが決まり、プロセスが決まればタスクが決まり、タスクが決まれば必要なスキルが決まる(第3章の階層)。この逆算が自動化できるなら、スキル生成も自動化できる。
見えない壁
フェーズ1からフェーズ2への移行には 見えない壁 がある。壁の正体は「抽象度の違い」。
フェーズ1は「具体的な手順を書く」作業。フェーズ2は「スキルを生成する仕組みを設計する」作業。やっていることのレベルが根本的に違う。
フェーズ2が成立する4つの条件(Claude × Codex ディベートでの知見):
| 条件 | なぜ必要か | 具体的には |
|---|---|---|
| 仕様が明確 | 何を入力して何を出力するかわからなければ、自動で作れない | 入力/出力/副作用をスキルごとに定義する |
| テストできる | 自動生成されたスキルが正しいかどうか検証する手段がないと、壊れたスキルが量産される | 各スキルにテストケースを持たせる |
| 権限が管理されている | 自動生成されたスキルが勝手にお金を送金したり、データを消したりしたら終わり | リスク等級に応じた承認フローを設計する |
| ロールバックできる | おかしなスキルが生成されたら即座に戻せないと事故が拡大する | バージョン管理 + 自動ロールバック |
フェーズ1で「良いスキルとは何か」を体で覚えた人だけが、フェーズ2の設計ができる。 なぜなら、「何がOKで何がNGか」の判断基準を持っていないと、自動生成されたスキルの品質を評価できないから。
第5章: スキル作成の実践ガイド
5-1. まず基盤スキルから始める
「何から作ればいいですか?」
この質問への答えはシンプル: あなたも毎日 Word / Excel / PowerPoint / メールを使っている。その中で毎回同じことやってるやつ、それをスキルにしてください。
もう少し具体的に言うと、7つの基本動作ごとに「最初の1個」として作りやすいものがある:
| 基本動作 | 最初の1個として作りやすいもの | なぜ作りやすいか |
|---|---|---|
| 集める | 毎朝やっているニュースチェック、週次の競合調査 | 「どこを見るか」が決まっている |
| 考える | 会議前のアジェンダ整理、プロジェクトの計画書 | テンプレートがある |
| 書く | 議事録のテンプレ作成、毎月の報告書 | 構成が毎回同じ |
| 計算・管理 | 経費精算、請求書、売上集計 | 手順が決まりきっている |
| 伝える・見せる | 週次報告のスライド、クライアント向け提案資料 | フォーマットが固定 |
| 確かめる | LPの誤字チェック、請求書の金額確認、公開前の最終チェック | チェック項目を列挙するだけ |
| やりとり | 定型メールの返信、日程調整の往復 | テンプレートが使える |
おすすめの最初の1個: 「手順型」の「計算・管理する」スキル。理由は3つ:
手順が完全に決まっている(曖昧さがない)
入力と出力が明確(数字 → 帳票)
ミスがあれば数字でわかる(検証しやすい)
毎月作っている請求書、毎週やっている売上集計、毎回同じフォーマットの経費精算。このどれかが最初の1個に最適。
5-2. 型ごとの作り方
スキルは「どんな仕事か」で作り方が全然違う。料理のレシピを書くのと、品質検査のチェックリストを書くのは別物。だから型を見極めてから作り始める。
型の見極め方: あなたのその仕事、一言で言うと何をしている?
| 一言で言うと | 型 | 作り方の核心 |
|---|---|---|
| 「毎回同じ手順を踏んでる」 | 手順型 | ステップを番号で書く |
| 「情報を集めてまとめてる」 | 調査型 | 「どこを見て何を集めるか」を書く |
| 「何かを作り出してる」 | 制作型 | 正解テンプレートを1つ渡す |
| 「出来上がったものをチェックしてる」 | チェック型 | OK/NGの基準を列挙する |
| 「数字やデータを処理してる」 | 管理型 | 入力→処理→出力を定義する |
| 「人に連絡・調整してる」 | 連絡型 | テンプレートと判断基準を書く |
以下、型ごとの詳しい作り方:
手順型(毎回同じステップでやっている仕事)
一番簡単。最初にやるべき。
作り方:
その仕事のステップを番号で書き出す
各ステップの入力と出力を明記する
「もし○○なら」の分岐を書く
---
name: monthly-invoice
description: 毎月の請求書を作成する。「請求書作って」「インボイス」で発火。
---
# 月次請求書作成
## 手順
1. Googleスプレッドシートのテンプレートをコピーする
2. 宛先・金額・明細を入力する
3. PDFにエクスポートする
4. メールで送信する
## 入力
- クライアント名
- 請求金額
- 明細項目
## 出力
- PDF請求書
- 送信済みメール
調査型(情報を集めてまとめる仕事)
作り方:
「どこを見るか」(情報源)を列挙する
「何を集めるか」(収集項目)を明記する
「どうまとめるか」(出力フォーマット)を決める
---
name: competitor-research
description: 競合リサーチ。「競合調べて」「リサーチして」で発火。
---
# 競合リサーチ
## 情報源
- X (Twitter) の投稿
- YouTube チャンネル
- 公式サイト
## 収集項目
- 投稿頻度、エンゲージメント率
- コンテンツのテーマ・切り口
- 価格帯・提供サービス
## 出力
- Markdownレポート(要約 + データ表)
制作型(何かを作り出す仕事)
作り方:
正解のテンプレートを1つ渡す(これが最も重要)
「このクオリティで作れ」と指定する
品質基準を明記する
---
name: youtube-script
description: YouTube台本を作成する。参照テンプレートに従う。
---
# YouTube台本作成
## 参照テンプレート
assets/best_script_example.md を参照。このクオリティで書くこと。
## 構成
1. フック(最初の5秒で興味を引く)
2. 問題提起
3. 解決策(3つ)
4. まとめ + CTA
## 品質基準
- 1本3000〜5000字
- 口語体で書く
- 専門用語は中学生でもわかる言葉に置き換える
チェック型(品質を確認する仕事)
作り方:
チェックリストを書く
OK / NG の基準を明確にする
NGの場合の対応を書く
---
name: lp-review
description: LPの品質チェック。「LP確認して」「レビューして」で発火。
---
# LPレビュー
## チェックリスト
- [ ] ファーストビューで何を売っているか3秒でわかるか
- [ ] CTAボタンは目立つか
- [ ] 価格は明記されているか
- [ ] スマホ表示で崩れていないか
- [ ] 誤字脱字はないか
## 判定
- 全項目OK → 「問題なし」
- NG項目あり → 具体的な修正箇所を指摘
管理型(データを処理・管理する仕事)
作り方:
入力(何のデータ)を定義する
処理(何をするか)を書く
出力(どこに保存するか)を決める
連絡型(人とやりとりする仕事)
作り方:
テンプレートを用意する
判断基準を書く(いつ何を返すか)
エスカレーション条件を書く(人間に回すケース)
5-3. SKILL.mdの基本構造
---
name: my-skill # スラッシュコマンド名
description: | # AIが自動判断に使う説明
このスキルの説明。
「こういう言葉」で発火する。
user-invocable: true # ユーザーが/で呼べるか
---
# スキル名
## やること
1. ステップ1
2. ステップ2
3. ステップ3
## ルール
- こういう場合はこうする
- こういう場合はやらない(NOT for: ○○)
## 出力形式
- ファイル名: xxx
- 保存先: xxx
5-4. 配置場所
| 使い方 | 配置先 |
|---|---|
| 自分だけが使う | ~/.claude/skills/my-skill/SKILL.md |
| プロジェクトで共有する | .claude/skills/my-skill/SKILL.md |
| チーム全体で使う | Enterprise管理設定 |
5-5. 良いスキルの条件
500行以内 — 長すぎるとAIが読み切れない
descriptionが具体的 — AIが「いつ使うか」を判断する唯一の情報源
トリガーワードを明記 — 「請求書作って」「インボイス」「invoice」で発火、と書く
やらないことも書く — 「NOT for: 新規ドキュメント作成」
出力形式が明確 — 何をどこに保存するか
正解テンプレートがある — 制作型は特に重要。お手本を渡す
5-6. 重要な注意: パッシブ vs オンデマンド
Vercelの評価で重要な知見:
常にロードされているルール(CLAUDE.md等)が100%の精度。オンデマンドスキルは最大53%。
AIは「いつスキルを呼び出すか」の判断がまだ苦手。だから:
毎回必ず使うルール → CLAUDE.mdに書く(常時ロード)
状況に応じて使うもの → スキルにする(オンデマンド)
副作用があるもの(デプロイ等) → 手動呼び出し専用にする
第6章: なぜこう分類するのか — 深掘り
この章は「なぜ第2章の分類がああなっているのか」を解説する。分類の理由がわからないと、自分で応用できない。
6-1. 人間の専門職はなぜ分かれるのか
医者と弁護士はなぜ別の職業か?「そりゃ違う仕事だから」では答えになっていない。なぜ「違う仕事」として分かれたのかが本質。
| 理由 | 医者 | 弁護士 | 経理 |
|---|---|---|---|
| 知識が全く違う | 解剖学・薬理学 | 民法・刑法 | 簿記・税法 |
| ミスの致命度が違う | 人が死ぬ | 人が刑務所に入る | 会社が税務調査に入る |
| だから免許/資格がいる | 医師免許 | 弁護士資格 | 税理士資格 |
| 他の人に代わりにやらせたら | 患者が死ぬかも | 被告が負けるかも | 脱税になるかも |
専門職が分かれる本質は2つ:
知識体系の独立性 — 解剖学を知っていても裁判はできない。民法を知っていても手術はできない。知識が根本的に異なるから、同じ人が両方やるのは非効率(もしくは不可能)
判断の不可逆性 — ミスした時のダメージが致命的だから、専門訓練を受けた人にしかやらせない。だから免許制度がある
これはAIスキルにもそのまま当てはまる。 YouTube台本を書くスキルとコードレビューをするスキルは、必要な知識が完全に別物。請求書を作るスキルと画像を生成するスキルも、知識体系が違う。だから別のスキルになる。
そして、請求書の金額を間違えるのと画像の色味を間違えるのでは、ダメージの大きさが全く違う。だから「どこまでAIに任せるか」のルールも変わる。
6-2. AIスキルの本質的な2軸
スキルの性格を決めるのは、突き詰めるとこの2つ:
軸A: 知識(何を知ってないとできないか)
| 知識の種類 | 説明 | 例 | スキル化の難易度 |
|---|---|---|---|
| 公開知識 | ネットに載っている一般知識 | Web検索、ニュース収集、一般的なテンプレ作成 | 簡単。誰でも作れる |
| 業界知識 | 特定業界の専門知識 | 医療用語の文書作成、法律文書の校正、金融レポート | 中。その業界の人が作る |
| 社内知識 | その組織だけが持つ知識 | 社内の承認フロー、独自の請求ルール、社内用語 | 難。その会社の人しか知らない |
| 個人知識 | その人だけが持つ知識 | 文体の好み、判断の癖、「こういう時はこうする」 | 最難。本人の頭の中にしかない |
知識が深いほど、スキル化の難易度が上がる。 公開知識のスキル(「ニュースを集めて」)は今日作れる。個人知識のスキル(「私の文体で書いて」)は、自分の判断基準を言語化するところから始まる。
だからまず公開知識のスキルから作る。 社内知識・個人知識のスキルは、作る過程で「自分が何を知っているか」を棚卸しすることになる。これ自体が価値。
軸B: リスク(ミスったらどうなるか)
| リスク等級 | ミスった時のダメージ | 例 | AIへの任せ方 |
|---|---|---|---|
| R0 やり直せる | すぐ直せる、影響が自分の中で閉じる | 文章の誤字、画像の再生成、下書き | 全自動でOK。AIに任せきり |
| R1 手間がかかる | 直せるけど時間がかかる | レポートの構成ミス、スライドの作り直し | AIが作って人間がさっと確認 |
| R2 お金に関わる | 金銭的な損失が出る | 請求書の金額間違い、広告費の誤設定 | AIが作って人間が必ず確認 |
| R3 取り返しがつかない | 法務・信用・人命に関わる | 個人情報漏洩、本番環境の破壊、契約書の誤記 | AIは下書きのみ。実行は人間 |
リスクが高いスキルほど、人間のチェックを挟む設計にする。 R0は全自動でいい。R3は絶対に人間が最終確認する。この使い分けを間違えると事故が起きる。
よくある間違い: 「AIにお任せ」で全部R0扱いにする。請求書の金額もメールの送信先もAI任せにして、間違った金額の請求書が飛んだり、関係ない人にメールが行ったりする。スキルを作る時に「これはRいくつか?」を最初に決める。
6-3. v1の3軸分類の問題点(LLMディベートの結果)
v1ではマニュアルの最初のバージョンとして「ドメイン」「トリガー」「自律度」の3軸で分類した。Claude と Codex (GPT-5.2) のディベートで以下の問題が指摘された:
問題1: トリガーは分類ではなく設定。
同じ請求書スキルが「手動」でも「毎月1日に定時実行」でも動く。いつ動くかはスキルの本質じゃなくて後から付ける設定。人間で言えば、経理担当者は「経理の専門家」であって「毎月1日に動く人」ではない。起動タイミングは属性であって分類ではない。
問題2: ドメインの定義が混在。
「開発」は仕事の種類だが「Google連携」は接続先。「メタ統治」は管理レイヤー。同じ軸に違う粒度のものを混ぜていた。人間の職業分類で「エンジニア」「マーケター」「Microsoft使う人」「管理職」を同列に並べるようなもの。粒度が揃っていない。
問題3: 自律度が曖昧。
「L3代理人」と「L4指揮者」の違いは、実際には「人間の承認がいるか」「ミスのダメージはどれくらいか」で決まる。「任せ具合」という感覚的な基準では設計に使えない。
Codex(GPT-5.2)の結論:
「能力(何ができるか)」と「統治(どこまで許すか)」を分けるべき。v1はこの2つを混ぜているから壊れる。能力はスキルの本体。統治はスキルにかけるルール。別物。
6-4. 整理: 分類 vs 設定 vs 統治
この3つは別々に考える:
| 項目 | それは何か | 決めるタイミング | 例 |
|---|---|---|---|
| 分類(スキルの性格) | 何の知識が必要で、何をするスキルか | スキルを設計する時 | 基盤/書く + 知識:社内 |
| 設定(起動方法) | いつ、どうやって起動するか | スキルを配置する時 | 手動 / 毎朝9時 / イベント連鎖 |
| 統治(許可のルール) | どこまで自動でやっていいか | スキルのリスクを評価した時 | R0:全自動 / R2:人間確認必須 |
v1はこの3つを全部「分類」として扱っていた。 v2ではこう分ける:
第2章の3層構造(基盤→専門→メタ) = 分類
トリガー(手動/定時/イベント/連鎖) = 設定。スキルに後から付ける属性
リスク等級(R0〜R3) = 統治。スキルにかけるルール
こうすることで「このスキルは基盤の『書く』型で、毎朝9時に定時実行で、リスクR1だから人間がさっと確認する」と、3つの独立した判断ができるようになる。
第7章: ツール別の違い
| 特徴 | Claude Code | Codex | Cursor | Cline |
|---|---|---|---|---|
| スキルファイル | SKILL.md | SKILL.md | .mdc/.md | .md/.txt |
| 設定ファイル | CLAUDE.md | AGENTS.md | .cursor/rules/ | .clinerules/ |
| 自動発動 | description判定 | description判定 | 4モード | 条件付きルール |
| サブエージェント | context: fork | Subagents | — | — |
| 手動呼び出し | /skill-name | /skills | @rule-name | — |
Claude Codeが最も高機能。ただし基本的なSKILL.md形式は共通で、どのツールでも使える。
第8章: スキル化チェックリスト
Step 0: 仕事の全体像を把握する
自分の仕事を「集める→考える→作る→渡す」の4ステップで書き出した
各ステップにかかっている時間を大まかに把握した
Step 1: 基盤スキルから3つ選ぶ
6つの基本動作の中で「毎回同じことをやっている」作業を見つけた
「3回以上同じことを思った」作業に印をつけた
その中から「売上に貢献する」or「うざい」の上位3つを選んだ
Step 2: 型を判断して作る
選んだ作業が「手順型/調査型/制作型/チェック型/管理型/連絡型」のどれか判断した
型に合った方法で SKILL.md を書いた
description にトリガーワードを書いた
NOT for(やらないこと)を書いた
Step 3: 動かして改善する
1回動かしてテストした
3回実戦で使った
改善点を SKILL.md に反映した
「もう自分でやらなくていい」と感じたら完成
Step 4: 専門スキルに進む(ゴールから逆算)
自分のゴールを明確にした
ゴール→プロセス→タスクを書き出した
タスクの中で専門知識が必要なものを特定した
専門スキルを作り始めた
付録A: v1の3軸分類(技術的な参考資料)
v1で提示した3軸分類は、AIの技術仕様を理解する際の参考として有用:
軸1: ドメイン(9分類)
開発 / コンテンツ制作 / リサーチ / ビジネス業務 / SNSマーケ / ドキュメント / Google連携 / 知識管理 / メタ統治
軸2: トリガー(5種)
手動 / キーワード / 定時 / イベント / 連鎖
軸3: 自律度(5段階)
L1道具 / L2助手 / L3代理人 / L4指揮者 / L5自己進化
これらは「スキルの技術的属性」として理解しておくと、SKILL.mdの設計時に役立つ。ただし、スキルを作る際の出発点は「あなたの仕事のどこか」であり、この技術分類ではない。
付録B: 業界のスキル分類フレームワーク
| フレームワーク | 提唱者 | 分類軸 |
|---|---|---|
| AI Agent Capabilities Periodic Table | Digital Twin Consortium | 知覚/認知/学習/行動/対話/統治の6領域 |
| 3段階アーキテクチャ分類 | Lenny Rachitsky | 決定的自動化 / 推論行動 / マルチエージェント |
| awesome-agent-skills | VoltAgent (GitHub) | 1,184+スキルのカテゴリ分類 |
| OpenClawレジストリ | Linux Foundation管理 | 13,700+スキル登録 |